潮回り · 물때 · ヒラマサ
結論を先に書きます。「釣れるかどうか」は潮ではほとんど決まりませんでした。むしろ大潮の芯がいちばん低い。決まるのは「大きいのが出るかどうか」だけでした。
ただしこれは「大潮に意味がない」という話にはなりませんでした。数え終えてから本人に見せたら、まったく別の読み方が返ってきたからです。それは後半に書きます。
これは統計ではありません。13年ぶん釣ってきた一人の釣り人の記録を、数え直しただけのものです。母数割合を出すときの分母。本サイトが一番こだわっている数字。釣れた日だけを数えると何を割っても高く出るので、釣れなかった日・釣れなかった時間も数え、それを分母に置いている。も偏りも全部さらします。それでも「大潮なら釣れる」と信じて日程を組んでいる人には、読む価値があると思います。
先に規模と性格を書いておきます。数字だけ見ても意味が伝わらないので。
ルアーのキャスティング釣行は161回。うち86%が遠征で、実釣実際に船を出して釣りをした日。移動日・時化での足止め・前泊は含めない。本サイトが「3日間の遠征」と書くときは、この実釣日で数えている(移動日を含めて4日と書いていたのを2026-08-08に訂正した)。は延べ378日です。
| 釣行 | 1回あたり | 延べ実釣 | |
|---|---|---|---|
| 遠征(関東圏外) | 139回(86%) | 実釣3日が基本 | 329日 |
| 関東圏(東京から200km圏) | 22回(14%) | 日帰りが基本 | 49日 |
行き先は長崎と沖縄(壱岐・対馬・五島/西表・本島)で7割強。ほかに北海道、青森、韓国、マレーシア、トレス海峡。
離島へ飛んで、竿を出す日が3日ある釣りです。移動日はこの3日に入っていません。近所で毎週竿を出す釣りではなく、1回の遠征に飛行機と船と宿と実釣3日が乗っている——だから日程をどの潮に当てるかが、そのまま釣りの成否になります。 それをためた結果が以下です。
年数を先に整理しておきます。 ここが混ざったまま書いていたので直します。
| 期間 | 中身 | |
|---|---|---|
| 釣行記録の全体 | 2013年7月〜(13年) | 餌釣り・中深場・釣り堀も含む |
| ルアーのキャスティング | 2015年12月〜(10年) | 最初はオーストラリア・トレス海峡でGT8本 |
| 下の表の母集団 | 2017年4月〜(9年目) | 瀬の誘い出し116遠征。壱岐から始まっている |
「13年」で正しいのは記録の話だけです。 キャスティングは10年、下の潮の表はさらに短く、2017年4月の壱岐からの9年目ぶんです。
当サイトの今月の潮を作る過程で、自分の記録を全部掘り返すことになりました。Facebook由来の釣行ノートが13年分で168回。Instagramを突き合わせると、そこに無い釣行がさらに出てきました。カレンダーからも40件。釣果記録というものは、釣れた日しか残らないのです。
ボウズを含めた分母がやっと手に入ったので、積年の疑問を検算しました。「大潮まわりに行けば釣れる」は本当か。
誘い出し瀬の上でトップウォータープラグを引き、魚を水面まで浮かせて食わせる釣り方。当サイトで潮を数えているのはこの釣り方の遠征だけで、ジギングやマグロ狙い、日周潮の海域は母数から外している。の遠征116回を、サリ韓国語で「大潮」。潮が最も大きく動く帯のこと。本サイトの表では「新月/満月からの日数」を指し、0に近いほど大潮の芯。日本式の「大潮」にほぼ対応する。くわしく見る →(朔望朔(さく)=新月、望(ぼう)=満月。月・地球・太陽が一直線に並ぶ日で、潮の干満差がいちばん大きくなる。本サイトの「サリからの距離」は、この朔望の日からの日数。くわしく見る →=新月・満月)からの距離で5つの帯に割ります。複数日の遠征は、その窓がサリに最も近づいた日で判定しています。
| サリからの距離 | 遠征 | 釣果あり | 率 |
|---|---|---|---|
| 芯±1日 | 41 | 24 | 58.5% |
| ±2日 | 13 | 8 | 61.5% |
| ±3日 | 13 | 9 | 69.2% |
| ±4日 | 19 | 13 | 68.4% |
| 小潮期 | 30 | 20 | 66.7% |
| 全体 | 116 | 74 | 63.8% |
58.5%から69.2%。しかも芯(①)が最下位です。 拍子抜けするどころか、直感と逆でした。遠征は実釣3日あるので、どこかで1本は出る。「潮が悪くて釣れなかった」は、少なくとも私の記録では成立していません。
そのかわり、魚種ではっきり分かれます。 同じ116回をヒラマサとGTで割ると、ヒラマサは75回中53回(70.7%)、GTは41回中24回(58.5%)。帯別の幅が58.5〜69.2%なのに対して、魚種の差は12.2ポイントあります。潮の帯より、何を狙いに行ったかのほうが釣果率を分けている。
理由は自分でも分かっています。ヒラマサはある程度狙って行っているのに対して、GTは2回に1回釣れれば上等な釣りだからです。同じ「キャスティング遠征」でも、期待値の設計が違います。
ボウズになった遠征の位置も見ました。芯±1日にも17回あります。 西表でハリスを6連続で切られた日も、対馬でバラシを3連発した日も、潮は最高でした。芯に当てても、獲れないときは獲れない。 あの日々の敗因は潮ではなく、結束とフッキングでした。
ここまで書いて本人に見せたら、意外がりつつも意見は変わりませんでした。 そして返ってきた理由が、この記事でいちばん重要だと思っています。
私は大潮を信じています。信じている中身は「チャンスが多くなる」ということ。潮の入れ替わりの回数が、ほかの潮回りより多い可能性がある。
上げ下げがはっきり出る大潮なら、1日に4回チャンスがある。 そこが好きなんです。
ただ、片潮1日のうち、上げか下げのどちらかしか大きく動かない潮回り。本サイトは以前これを「絶望する条件」と書いていたが撤回した(yusu指摘)。片潮そのものは悪ではなく、対馬の西海域のように常態化している場所がある。くわしく見る →そのものが悪いわけではありません。 対馬の西海域のように、片潮が常態化しているエリアもある。そこではそれが普通で、それで釣れています。
これは「釣れる確率が上がる」という主張ではありません。「打席が増える」という主張です。 上げと下げが1日に2回ずつ、はっきり出る。実釣3日なら12回の潮変わりを踏める、という数え方をしている。
そう読むと、上の平らな表と矛盾しません。「3日のうちに1本でも出るか」を見ているかぎり、打席が12回でも6回でも、答えはたいてい『出る』になる。 天井に当たっているのです。動くのは平均ではなく、当たったときの中身のはず。
そしてもうひとつ、片潮を「悪い潮」と書かなかったところが大事だと思っています。対馬の西側のように、それが常態の海域がある。潮の良し悪しは海域とセットでしか決まらない——そう言われると、全海域を一枚の表に並べた私のやり方のほうが乱暴に見えてきます。
上振れがどこに出たか。それが次の検算です。
同じ116回から、20kg超が出た遠征だけを抜きます。ここで景色が一変しました。
⚠ 2026-08-09、この節は書き直しました。 それまでは帯を「遠征の日数ぶんを展開して、
その中でサリ距離が一番小さい日」で決めていました。
魚が出た日ではなく、3日のうち一番大潮に近い日で帯を決めていたことになります。
これは構造的に芯へ寄せます。
写真のEXIF写真そのものに自動で記録される撮影日時・GPS座標などのデータ。本サイトでは日付と時刻の正としてこれを使う(投稿の日付は投稿日にずれるため)。重量・ルアー・本数は、その場で書いた記録のほうを正とする。で釣れた日そのものが分かったので、置き換えました。結論が変わりました。
ヒラマサ(壱岐・対馬・五島・玄界灘・済州・巨文島)で20kg超が出たのは3遠征・6本。芯(サリ±1日)は3遠征のうち2遠征です。
| 釣れた日 | 時刻 | サリ距離 | 帯 | 重量 | 場所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023-10-12 | 09:24 | 2.5 | ③ | 29.0kg | 済州島 |
| 2023-10-13 | 06:38 | 1.5 | ② | 33.0kg | 済州島 |
| 2024-03-25 | 07:26 | 0.5 | ① | 34.8kg | 五島 |
| 2024-11-30 | 13:44 | 0.5 | ① | 28.0kg | 五島 |
済州の2本は同じ瀬に2日続けて入って出たもので、1遠征として数えています (記録では10月12日と10月16日の2件になっていましたが、投稿日でした)。
芯の露出は全体で35.3%です。3遠征のうち2遠征が偶然そこに入る確率は28.6%。 誤差の範囲です。「上振れが芯に寄っている」とは、もう言えません。
ただし形は残ります。 済州も五島も、サリに向かって上がっていく数日の中で出ています (済州は 2.5 → 1.5 → 0.5 → 0.0 → 1.0 と進む5日間の、前半2日)。 「大潮まわりを狙って組む」という組み方は変わらず、変わったのは 「芯の当日でしか出ない」という結論のほうです。
GT(西表・沖縄)で20kg超が出たのは5遠征・5本。5遠征とも釣れた日が確定し、芯(サリ±1日)は0回です。
| 釣れた日 | 時刻 | サリ距離 | 帯 | 重量 | 場所 | ルアー |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020-05-26 | 10:02 | 3.0 | ③ | 30.0kg | 西表島 | ダムセル90 |
| 2022-07-01 | 14:08 | 2.0 | ② | 20.0kg | 西表島(水深2mの水路) | |
| 2023-05-27 | 06:54 | 6.5 | ⑤ | 28.0kg | 西表島 | |
| 2026-03-01 | 15:26 | 2.5 | ③ | 20.0kg | 波照間 | γ200 |
| 2026-01-10 | 09:47 | 6.5 | ⑤ | 23.0kg | 仲の神島(イソマグロ) |
5遠征とも芯を外しています(0/5)。偶然でこれ以上外す確率は11%。 誤差の範囲ではありますが、ヒラマサ側とは逆向きに揃っているのは確かです。
2026-03-01 は記録では「3月2日」でしたが、yusuの確認で3月1日15:26(波照間起き)と判明しました。
済州・五島に続いて3例目の日付訂正です。
「GTは芯を外す」とまでは言えません。言えるのは「GTでは潮の芯が効いている証拠が出ていない」ということだけです。
GT側は5遠征すべて、写真とyusuの確認で釣れた日が確定しました。
「ヒラマサは大潮を選んで行くからだろう」と思いますよね。私も思いました。サリ±2日に遠征が入っている割合は、ヒラマサ45.3%・GT41.5%。 ほぼ同じで、ヒラマサだけが芯に寄せているわけではありません。 同じ人間が同じ組み方で通って、結果だけが分かれている。
ヒラマサは沖の瀬に本流を当てる釣りです。瀬に潮が当たって湧きができ、ベイト文脈で2つの意味がある。①ベイトリール(両軸受けリール)。「ベイト縛り」「ベイトへの移行」はこちら。②ベイトフィッシュ(餌となる小魚)。「ベイトサイズ」はこちら。本サイトでは①の意味で使うことが多い。が溜まり、大型が定位する。この構造が立つかどうかは潮の量そのもので決まる。20kg級はその構造が完全に立った日にしか口を使わない。「入れ替わりの回数が多いほどチャンスが増える」という感覚は、この構造の立ち方の話だと思っています。
GTのほうは、はっきり言えることが少ないです。 ここでGTを「リーフサンゴ礁。水深が急に浅くなり、その縁や切れ目(水路)を潮が通る。本サイトはGTを「リーフの魚」と書いていたが撤回した——通っている場所がリーフに偏っているだけで、魚の性質の話ではない。の魚」だと決めつけないでください。 GTがリーフでしか釣れないわけではありません。私が通っている場所が、たまたまリーフや水路の多い海域に偏っているだけです。八重山や沖縄がそういう地形だから、そこでのGTの釣りが「地形と時間帯の釣り」になっている——それだけの話で、魚の性質の説明にはなっていません。
その前提で言えるのは、私が行っている場所では日単位の潮回りに乗っていないということだけです。実際、うちの記録で大きいGTは水深2mの水路と小潮期のドシャローから出ています。大潮の八重山は流れが速すぎて船を立てられない日もある。場所が変われば話は変わるはずです。
この結論には弱点があります。ヒラマサの20kg超はすべて2023年以降です。 リールを替えた年より後にしかない。旧タックル期は芯に当て続けて20kg超ゼロでした。
つまり「潮の芯だから出た」のか「道具が届くようになったから出た」のか、この記録では分離できません。 両方が揃った釣行にだけ大物が集中している——それが正確な言い方です。道具の話は巻取長の記事に書きました。
もうひとつ、数え方では埋まらない穴があります。 この母数はSNSと釣行ノートに残ったものから作っています。ところが記録に残せない釣りがあります。 マグロがその代表で、事情があって投稿にしていない遠征がいくつもあります。京丹後のように、行ったのにアーカイブに1件も無い場所もある。
「釣れた日しか残らない」という偏りはボウズを掘り起こせば埋まりますが、こちらは遠征ごと存在しないので、掘り返しようがありません。この記事の母数には、最初から入っていない釣りがある——そう思って読んでください。
そして「その日の潮変わりが何回あったか」を数えていません。 上げ下げがはっきり出た日と、片潮で終わった日を、記録が区別していないのです。潮位表から後付けで判定はできますが、それは「その海域でどう出たか」とは別物です。対馬の西側のように片潮が常態の海域では、そもそも判定の意味が変わります。次のシーズンから記録する項目に入れます。
n=4とn=5の話をしていることも申し添えます。統計を名乗るつもりは最初からありません。
今月どの3日間にサリの窓が来るかは、今月の潮が毎月自動で出しています。この記事は、あの表がどこから来たのかの説明でもあります。
本記事の数字は運営者個人の釣行記録(2013〜2026・統合280レコード)によるもので、ただし潮の表に使っている誘い出し母集団集計の対象にした全体。本サイトの潮の集計は「誘い出しの遠征116回(2017年4月〜2026年3月)」を母集団にしており、ジギング・マグロ狙い・日周潮の海域・同行者の魚は外している。くわしく見る →116遠征は2017年4月〜2026年3月(キャスティング自体は2015年12月のトレス海峡から)です。期間は verify_stats.py の【期間】が出力します。統計的な有意性はありません。掲載値はすべて data/author/fishing-profile/verify_stats.py で再計算でき、20kg超の一覧も同スクリプトがデータから列挙します。複数日の遠征は遠征全体を1件として数え、その遠征の最大重量で判定しています。日数は実釣日で、移動日は含みません。 同行者が獲った魚は集計から除外しています(catch欄の (他者) マーカー)。潮の数え方は韓国・南海岸式(8물때式)で、流儀により±1日ずれます。浅場・潮が走りすぎる海域・日周潮の東南アジアには、この枠組み自体が当てはまりません。マレーシア・タイ・台湾・ベトナム・インド(アンダマン)の遠征と、津軽海峡などのマグロキャスティングは、瀬の誘い出しではないので母数から外しています(キャスティング釣行161回のほうには含みます)。
2020-05-26と2022-07-01の2件は、Instagramの記録のみが出所で、釣行データベース側に対応する記録がありません。
2026年8月、投稿原文にもとづき日付を訂正しました(五島2件・仲の神島1件)。従来「一日の釣果」としていた記録が実際には3日間の合計だった箇所を含みます。同月、同行者の釣果が自分の記録に混ざっていた7件と、Instagram側との重複52件を除去し、全数値を再計算しました。集計は vault から vault_sync.py で自動生成しています。同月さらに、エリア表記の違いで1件だけ紛れ込んでいたランカウイと、マグロ狙いの4遠征を母数から外しました(122→117)。
2026-08-09、写真のEXIF(撮影日時・GPS)で五島2024年3月の日付を訂正しました。投稿原文は「3月22-24日」でしたが、写真では3/22は福江の陸側で、実釣は3/23・3/24・3/25。3/25の07:05と07:26〜07:30に沖で連写短い時間に続けて撮られた写真のかたまり。魚が上がるとカメラを何枚も切るので、連写の位置と時刻から「いつ何が起きたか」を復元している。記録に時刻が残っていない釣行の時刻は、これで拾い直した。があり、記録上のHIT 07:16と一致します。投稿は後から書くため日付がずれる、というyusuの指摘にもとづき、以後は写真を正とします。これに伴い母数が 117→116 遠征になり、関連する数字を再計算しました(帯①サリ(新月・満月)からの距離で釣行を5つに分けたもの。①=±1日以内(芯)/②=±2日/③=±3日/④=±4日/⑤=それ以外(小潮期)。遠征が複数日にまたがる場合も、魚が出たその日で判定する。くわしく見る →が最下位という結論と、20kg超4遠征すべて帯①という結論は変わっていません)。
2026-08-08(2)、「13年ぶんためた」という書き方を訂正しました。 13年なのは記録全体で、キャスティングは2015年12月から10年、潮の表の母集団は2017年4月からです。
2026-08-08、運営者本人の指摘により3点を訂正しました。①日数は実釣3日であり移動日を含まないこと ②GTを「リーフの魚」と書いていた箇所(通っている場所がリーフ寄りに偏っているだけで、魚の性質の説明ではありません) ③大潮についての本人の見解を本文に追加したこと。
2026-08-08 追記。本人の見解を「1日に4回の潮変わり」と「片潮は海域によっては常態」まで具体化しました。前版は片潮を一律に悪いものとして書いていましたが、それは誤りです。
Tide今月の潮 — 韓国式물때と3日窓→この記事に出てくる場所・船